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えっ、その年でデザイナーなの?

おっさんがデザインとイラストにがんばるブログ

「シン・ゴジラ」は日本人のトラウマをうまいこと利用していたんじゃないかと思う

今週のお題「映画の夏」

現在、ヒット中の「シン・ゴジラ」。総監督・脚本・編集・画像設計・音響設計・ゴジラコンセプトデザインを「エヴァンゲリオン」の庵野秀明が担当、監督・特技監督は「ローレライ」「日本沈没」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」シリーズの樋口真嗣。1954年の元祖「ゴジラ」の完全新作として制作された。主演は「ハセヒロ」こと長谷川 博己、ほか竹野内豊石原さとみ高良健吾市川実日子ら。キャストは総勢328名ということで非常に多い。中でも大杉漣柄本明國村隼平泉成、渡辺哲、鶴見辰吾モロ師岡嶋田久作などの名バイプレーヤーが渋い演技を見せてくれる。

8月1日と8月14日にTOHOシネマズにて家族で鑑賞した。両日とも席は8割方埋まっていた。

一度目は、リアリティを感じられて見応えのある会議シーンや、やたら気持ち悪いゴジラ、積み上げてきたリアリティを吹っ飛ばす石原さとみ国連決議で決まった東京への熱核攻撃がせまる中で、ゴジラの動きを封じる作戦が間に合うのか間に合わないのか、上手くいくのか失敗するのか等々、物語についていくのがやっとだった(できるだけ映画の内容に関する情報を仕入れないで見たせいもある)。

見終わった印象としては「日本スゴイ、捨てたもんじゃない」というメッセージが強く、「Youは何しに日本へ?」を見ていて感じるそこはかとない気恥ずかしさも感じた。ニッポンをガイジン(※特に白人)が好いてくれているのを観て、誇らしい、嬉しいと思ってしまう自分って、けっこうしょうもない。

エヴァンゲリオンで印象的に使われた「デーンデーンデーンドンドン」という曲が3回は流れるうえに、ストーリー展開がヤシマ作戦の構造に近いこともあり、いくらなんでもエヴァ過ぎだろと突っ込みたくなった(多分エヴァ観た人はみんな思う感想かな)。

怪獣映画では役に立たないことが多い自衛隊を非常にかっこよく、ヒロイックに描写していることは新鮮だった。危険を顧みず市民のために働き、炊き出しで食物を避難民に配る隊員の姿は、福島や熊本の被災地で実際に行われた支援活動を思わせ、それだけで目頭が熱くなる。

二度目に観た今日は、一度目では気になった右寄りな印象はグッと薄れ、石原さとみのキャラも気にならなくなった。間に1954年の初代ゴジラをHuluで観たことも影響があったのかも知れない。

「あぁ、そういうことか…」と思ったのは、日本人のトラウマを刺激することで感情を揺さぶり、映画的なカタルシスを巧妙に高めていたことについて。

ここでいう日本人のトラウマは、広島と長崎に核爆弾を落とされたこと、都市を空襲で火の海にされたこと、それらを行ったアメリカの属国のような立場であり続けていること、自衛隊賛美がある種のタブーであること、福島第一原発で重大事故が起きてしまったこと、そして首相、閣僚、官僚といった政治のトップに信頼を置けないこと。

これらのトラウマを刺激する映像やエピソードを挿入して観客の心をグラグラと揺すったところで、ヤシマ作戦成功!やったゼ!からの「最後のしっぽのアレ、何なん…」で意味ありげに締めるという…庵野マジックは素晴らしかった。

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終盤、ハセヒロと石原さとみが話すシーンの背景で無数の六芒星が壁の柄(?)になっていたように思ったが、ダビデの星(ユダヤを象徴するしるし)を表してたりするわけないよね…